前回簡単にまとめてみたレトロゲームをWindows10で動かす方法について個々に解説していきたいと思います。
今回は3dfx(Voodoo)対応ゲームについてNovalogic社のコンバットフライトシミュレーターであるF-22 Lightning 3を例に取り上げていきたいと思います。
F-22 Lightning3はF-22Aを題材にしたコンバットフライトシミュレーターでWindows95/98/XPに対応しています。グラフィックはDirect3D とVoodooに対応しており解像度は最大1024x768 32bitカラー(Voodooは16bitカラーのみ)での表示が可能です。
F-22 Lightning3のインストール
古いゲームなのでCD-ROM販売は終了しています。CDなしで起動するバージョンがSteamで980円NovalogicのHPではダウンロード版を9.99ドルで入手可能です。
(そういえばNovalogicは現在も健在でF-22 Lightning 3のオンラインアップデートのサーバーもまだ生きていました。)
今回は手元にCD-ROMがあるのでここからインストールをします。CD-ROMをセットすると自動再生の画面になりますが、ここでインストールをクリックし起動しようとするとエラーになるので、CD-ROMを開いて「l3setup」フォルダの中の「setup.exe」をダブルクリックして起動します。
インストールパスを聞いてきますので適当な場所を選びます。デフォルトは「C:\Program file(86)\novalogic\F-22 Lightning 3」フォルダが選ばれています。
次にLarge installかSmall installかを聞いてきますが大した容量ではないのでLargeを選びます。数分でファイルのコピーが終わります。インストール終了後DirectXのインストール画面が表示されますがインストールはせずにfinishをクリックします。これでインストールは終了です。
インストール直後はメニュー画面でオープニングムービーが流れますが途中でESCキーを押すとエラーになってしまってゲームは起動できません。
そこでdgVoodooの機能を使ってDirectX6をDirectX11の出力に変換してやるとメニュー画面まで正常に起動できるようになります。
dgVoodooのインストール
dgVoodooとはVoodooカードの出力をエミュレートしてDirext3Dで出力するソフトです。Glideラッパーと呼ばれています。Glideラッパーにもいくつが種類がありますが代表的なものはnGlide、dgVoodooなどです。
特にdgVoodooは設定項目が多くゲームごとに違った設定ができるので便利です。Voodooだけではなく古いDirectXをDirectX11に変換する機能もあります。
dgVoodooはDege’s stuffsで配布されています。現在の最新バージョンは2.79.1です。dgVoodooのインストールはドロップイン式で非常に簡単です。
CD-ROM版へのインストール手順
①dgVoodoo2_79_1.Zipを解凍してできる4つのフォルダと3つのファイルをコピーしてゲームの実行ファイル「l3.exe」があるフォルダ「F-22 Lightning 3」フォルダに貼り付けます。
①Dege’s stuffsからddgVoodoo2_79_1.Zipと3dfxsplashdlls.zip(3dfxロゴを表示するのに必要です)をダウンロードします。
②dgVoodoo2_79_1.Zipを解凍します。4つのフォルダと3つのファイルが解凍されます。
③F-22 Lightningのインストールフォルダ「xxxxx¥F-22 Lightning 3」を開きます。
④dgVoodooCpl.exe、dgVoodoo.confをゲームの実行ファイルのある「¥F-22 Lightning 3」内にコピーします。
⑤3Dfx フォルダの中のx86フォルダの中にある3つのファイル「Glide.dll」,「Glide2x.dll」,「Glide3x.dll」を「xxxx¥F-22 Lightning 3」フォルダ内にコピーします。(3dfx対応機能だけで良い時は3つのファイルをコピーするだけでOKです。)
⑥同じようにMSフォルダ内のx86フォルダの中にある4つのファイル「D3D8.dll」,「D3D9.dll」,「D3DImm.dll」,「DDraw.dll」を「xxxx¥F-22 Lightning 3」フォルダ内にコピーします。(今回はメニュー画面も起動できないため、DirectXのラッパー機能を使ってDirectXも変換するのでこれらのファイルもコピーしています。)
⑦3dfxsplashdlls.zipを解凍して、「3dfxsplash2.dll」と「3dfxsplash3.dll」を「xxxx¥F-22 Lightning 3」フォルダ内にコピーします。
これらの計7つのダイナミックリンクライブラリ(DLLファイル)とdgVoodooCpl.exeを「l3.exe」と同じフォルダ「F-22 Lightning 3」フォルダ内に配置します。
以上でdgVoodooのインストールは完了です。
Steam版へのインストール手順
Steam版にインストールするときも同様ですがコピー先がSeam¥Steamapps¥common内の「¥F-22 Lightning 3」フォルダになるところが違います。
①Dege’s stuffsからddgVoodoo2_79_1.Zipと3dfxsplashdlls.zip(3dfxロゴを表示するのに必要です)をダウンロードします。
②dgVoodoo2_79_1.Zipを解凍します。4つのフォルダと3つのファイルが出来ます。
③Seam¥Steamapps¥common¥F-22 Lightning 3フォルダを開きます。
④dgVoodooCpl.exe、dgVoodoo.confをゲームの実行ファイルのある「¥F-22 Lightning 3」内にコピーします。
⑤3Dfx フォルダの中のx86フォルダの中の3つのファイル「Glide.dll」,「Glide2x.dll」,「Glide3x.dll」を「¥F-22 Lightning 3」フォルダ内にコピーします。
⑥同じようにMSフォルダ内のx86フォルダの中の4つのファイル「D3D8.dll」,「D3D9.dll」,「D3DImm.dll」,「DDraw.dll」を「¥F-22 Lightning 3」フォルダ内にコピーします。
以上でdgVoodooのインストールは完了です。
dgVoodooの設定
次にdgVoodooCpl.exeを管理者権限で起動します。最初にWindowsから警告メッセージが出ることがありますが、詳細をクリックしてそのまま実行してください。その後、常に管理者権限で起動するよう互換性設定で設定します。
dgVoodooのコントロールパネルを開きます。いろいろ設定項目がありますが通常はほとんどいじる所はありません。
「Genaral」タブを開いてAppearanceを「Full Screen」、Scaling modeを「Streched,keep Aspect Rasio」に設定。Miscellanneusの「Center app window」にチェックを入れ、「Caputure Mouse」のチェックを外します。
次に「Glide」タブを開いて、「3dfx Splash Screen」にチェックを入れます。
次にDirectXタブを開いて図のように設定します。これで設定は終了です。「Apply」をクリックして確定し「OK」をクリックして閉じます。
今回はdgVoodooCpl.exeをゲームのフォルダ内にコピーしましたが実際にはどこに置いておいても構いません。ダイアログ上部にパス名が表示されていますが、ここを切り替えることで他のフォルダ内のゲームの設定も簡単にできます。(その通りなのですが紛らわしいのでやはりここのゲームのフォルダ内にドロップインした方が簡単です。)
F-22 Lightning 3のオプション設定
F-22 Lightning 3を起動します。画面右下にdgVoodooのロゴが表示されていればdgVoodooが働いています。
「OPTIONS」をクリックします。「Video/Performance」を開きます。
「3D Device」が「Voodoo Graphics」になっているのを確認します。「3D Card Driver」が「3Dfx Voodoo(Glide) 」になっていることを確認して「Game Resolution」を「1024X768」に「3D Acceleration」を「Enabled」に設定します。
Bit DepthはHigh Color(16bit)しか選べません。「Texture Distance」は一番右へ、「Memory Usage」は「High」に設定します。その他、必要に応じてジョイスティックなどの項目も設定します。
「Accept」をクリックして閉じますこの時エラーが出てOption画面が落ちてしまう時がありますが設定は保存されているので大丈夫です。
F-22 Lightning 3の起動
もう一度F-22 Lightning 3を開きます。Quick Missionをクリックしましょう。右端の「Accept」をクリックします。画面が暗くなって3dfxのロゴが表示されたでしょうか?
再度、画面が暗くなった後、ゲーム画面が表示されます。画面右下に3Dfxのロゴが表示されていたら3dfxモードで動作しています。さあテイクオフです!
F1キーを押すとコックピット画面に変わります。見まわすこともできます。コックピット内はキャノピーに写りこんだ計器やランプまで再現されています。
さすがに20年近く前のソフトなので最近のDCSなどと比べると見劣りはしますし、素の状態では動かないというのはアレですが、dgVoodooを使えばWindows10でも当時の感動が蘇ります。現在のスペックのCPUとグラボであれば動作も軽く、操作方法もカジュアルで気軽に楽しめます。
終わりに
オリジナルバージョンでは起動時のメニューがデスクトップからはみ出た状態になりますが、ALT+TABを押してタスク切り換え画面でを表示させてから、再度メニュー画面を選択するとメニュー画面が正しく表示されます。
dgVoodooでGeneralタブの中のCenter app windowにチェックをつけると治ります。またVer.1.00.00.04以降にアップデートすると右下のdgVoodooのロゴが出なくなります。
テスト環境ではメニュー画面のOPTIONからVideo/Performanceを設定した後だけ「Accept」をクリックするとエラーがでてメニュー画面が落ちますが、これだけはアップデートしても解消しませんでした。
CD-ROM版のF-22 Lightning 3のオリジナルバージョンはVer.1.00.00.02です。Novalogicのサイトには1999-06-16付の1.00.00.04のパッチがあるのでこれを当てた状態でdgVoodooをインストールしました。
これ以降のパッチだとゲームが起動できなくなる(あるいはVoodooモードがなくなる)ので動作確認はVer.1.00.00.04で行いました。その後オンラインアップデートでVer.1.00.01.04へアップデートしたところ正常に起動できることを確認しました。Voodoo対応はそのままでしたがメニュー画面のエラーは解消しませんでした。Steam版はVer.1.00.01.04です。
最新では2015-06-01付のVer.1.000.02.11パッチが配布されています。ワイド画面への対応がされていて16:9での表示が可能ですがメニューから3D DEVICEの選択オプションがなくなりVoodoo対応は無くなってしまっています。
このバージョンはVer.1.00.00.02から直にはバージョンアップ出来ず、Ver.1.00.00.04にアップデートしてからインストールしないとゲームが起動できなくなります。さらにこのバージョンではメニュー画面でのエラーが出なくなっています。
Ver.1.000.02.11では解像度が最大1920x1080まで選べますがdgVoodooを使うとテスト環境(NVIDIA GeForce GTX970、AMD Rayzen 5 3400G)ではフレームレートが常に20fps以下で激重です。
以上dgVoodooを使った3dfx対応ゲームの設定方法でした。次回はdgVoodooのDirectXラッパー機能について解説する予定です。